アスベストの規制強化前後での違いや変更点は?知らずに違反すると処罰も!

アスベストについてどれほど詳しく知っていますか?

その危険性や取り扱いに関する法的な規制は、物件所有者や建設業者だけでなく日常生活における私たち一般市民にとっても無視できないテーマです。

しかしこれらの知識は専門的であり、その全貌を把握するのは容易ではありません。

そこで本記事では、アスベストの規制についてスポットライトを当て、2023年最新の情報をもとに詳しく解説します。

アスベストの危険性と規制にいたる経緯やその具体的な内容、適切な取り扱い方法、そして違反時の罰則など、幅広い知識を分かりやすくまとめています。

プロから初心者まで、あらゆるレベルの知識をお持ちの方にとって参考になると思います。

目次

アスベストとは?なぜ規制が強化されているのか?

なぜ規制が強化されているのか?

以前はアスベストの資格無しでの取り扱いが一部可能でした。

しかし、健康被害などが相次いだため、2021年4月1日から2023年10月1日にかけて大気汚染防止法の一部を改正する法律が順次施行されています。

それにより、法律によってアスベストの取り扱いには資格が必要となっている背景があります。

アスベストの健康被害とは

アスベストが原因による代表的な疾患(健康被害)は、主に以下の5つがあります。

  • 石綿肺
  • 肺がん
  • 中皮腫
  • 肥満性胸膜肥厚
  • 良性石綿胸水

初期症状の多くとして息切れ、胸の痛み、せきがみられます。

また、これらの疾患が悪化してくると、呼吸困難や肺がんのリスクが上がります。

厚生労働省の人口動態統計によると、中皮腫による死亡者は、平成7年の500人から令和

元年には1,466人となっており、約20年間で約3倍に増加しています。

健康被害に関して具体的に知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

注意点として、アスベストそのものが、健康被害を起こすわけではないということです。

アスベストの繊維を人が吸入してしまい、吸引されたアスベストの一部が肺の組織内に長く滞留することで、健康被害を引き起こすとされています。

【重要】アスベストの規制強化前後での変更点

アスベストの規制強化の前後では、どのような点が変更されているのでしょうか?

最新の規制変更は2023年10月に行われ、有資格者による事前調査の義務化が決定しました。

以下の表がアスベストの規制強化の時期とその内容です。

実施日内容
2021年4月1日施行規制対象の拡大
2021年4月1日施行作業基準遵守義務者の拡大
2021年4月1日施行発注者への作業結果の報告
2021年4月1日施行事前調査結果の報告
2023年10月1日施行事前調査の有資格化
アスベストの規制強化時系列

2023年に有資格者による事前調査の義務化が決定

大気汚染防止法改正に伴い、2023年10月1日以降に着工する解体・改修工事において、有資格者によるアスベスト事前調査が義務化されました。

有資格者とは、以下の4つの資格のうち、いずれかの資格の取得者のことを指しています。

  1. 特定建築物石綿含有建材調査者(特定調査者)
  2. 一般建築物石綿含有建材調査者(一般調査者)
  3. 一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て調査者)
  4. 2023年9月30日以前に(一社)日本アスベスト調査診断協会に登録されている者

このため、建築物の解体・改修工事を行う事業者や事前調査を行う事業者は、資格者の育成を計画的に進める必要があります。

また、個人での施工において事前調査の義務は現状ありません。

その他の規制強化前後の変化

アスベストは従来、石綿含有建材はレベルで分類され、レベル3のその他の成形板・仕上塗材などの石綿含有建材は、作業基準が設けられていませんでした。

しかし、2021年の法改正により、新たに作業基準が設けられることとなりました。

2021年の法改正によるアスベストの規制強化の内容についてはこちらをご覧ください。

アスベスト規制への違反をするとどのような処罰がある?

アスベスト規制への違反をするとどのような処罰があるのでしょうか?

具体的な違反事例とその処罰を確認しましょう。

建設業者の具体的な違反事例とその処罰

大気汚染防止法及び石綿障害予防規則に基づく規制に違反した場合には、それぞれ罰則が適用される可能性があります。

具体的な罰則は以下のとおりです。

関連法案具体的な罰則内容
大気汚染防止法行為者及び法人に対して最大で6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(大防法33条の2第2号、18条の18)
石綿障害予防規則行為者及び法人に対して最大で6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(労働安全衛生法27条1項、22条1号、119条1号)

アスベストが飛散するおそれのある建物は通常有すべき基本的安全性を欠くものと評価され、法的責任を負う事例もあります。

例えば、購入した土地内からアスベスト含有物(スレート片)が発見されたケースで、除去費用等として約59億円もの損害賠償責任が売主に認められた例(東京高判平成30年6月28日(判時2405号23頁))。

また、テナント部分にアスベストが存在することが確認されたケースで、対策工事費用等の支払い義務が建物所有者に認められた例(東京地判平成27年12月4日(判例秘書L07031302))などがあります。

発注者が処罰されるケースはほとんどない

アスベストの規制への違反において、発注者側が処罰されるケースはほとんどありません。

大気汚染防止法及び石綿障害予防規則に基づく規制に違反した場合は、請け負った建設業者に責任があります。

そのため、発注者や物件居住者等に対する法的責任はないと考えていいでしょう。

【一部例外も】アスベスト規制対象の建物の条件

ほとんど全ての建物がアスベスト規制の対象となります。

ですが、一部の建物はアスベスト調査が軽減・対象外となります。

どのような建物が例外となるのでしょうか?詳しく解説します。

規制強化調査が軽減される建物

アスベストの規制強化調査が軽減される建物は以下の5つの場合において適用となります。

  • 工事対象の建材がアスベストを明らかに含まない素材のみの場合
  • 建材にほとんど損傷を与えずアスベストの飛散リスクがない場合
  • 塗装や材料の取り付けのみを行う場合
  • すでにアスベストの含有がないことが確認されている場合
  • 2006年(平成18年)9月1日以降に着工された建物の場合

これらの建材に関する工事ではアスベストの事前調査が不要または軽減されます。

木材、金属、石、ガラスなどの素材で作られた建材など、アスベストを明らかに含まない素材は調査の対象外となります。

塗装や、基本的な釘抜きや簡単な釘打ちなど、建材にほとんど損傷を与えずアスベストの飛散リスクがない場合は調査の対象外となり、アスベストの規制強化調査には含まれません。

しかし、電動工具を使って材料に穴を開けるような作業はこの例外には当てはまりません。

この種の作業ではアスベストが飛散するリスクが高まるため、アスベストの事前調査をすることが義務付けられています。

また、アスベストの含有がないことがすでに確認されている場合もアスベストの規制強化調査の対象外となります。

2006年(平成18年)9月1日以降に着工された建物は書面での調査のみ必要

平成18年(2006年)9月1日以降に着工された建築物は、書面での調査を行う必要がありますが、現地調査を行う必要はありません。

なぜなら、現在ではアスベスト(石綿)の製造・使用が完全禁止になっていますが、2006年9月以前の日本においては、アスベストおよび関連製品の製造及び使用が禁止されていなかったためです。

設計図書等でその着工日が2006年(平成18年)9月1日以降であることが文書によって証明される必要がありますが、その時点で調査は終了となり、書面調査のみで事前調査を終えることができます。

まとめ:アスベストの規制強化の変更点

今回の記事では、アスベストの規制強化前後での変更点や違反した場合の具体的な処罰について解説しました。

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この記事の執筆者

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アスベストナビ編集部

アスベストナビ代表。アスベストについての総合情報をまとめたポータルサイト「アスベストナビ」を運営している。アスベストの健康被害から法制度の改正まで、幅広い知見を提供する。

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