【図解でわかる】アスベスト事前調査の対象とは?例外も含めて詳しく解説!

アスベスト事前調査は義務化をされていますが、アスベストの飛散リスクがない条件を満たす場合などは、例外的に調査が不要なケースもあります。ここでは、アスベスト事前調査が不要となる場合や必要な場合を図解を交えて分かりやすく解説します。

目次

そもそもアスベストの事前調査は義務??

アスベストの粉じんは吸入すると肺がんや中皮腫などの重大な健康障害リスクがあるので、解体や改修作業においては事前調査が法律で義務化されております。

アスベストの事前調査の対象となる場合

義務化されたアスベストの事前調査ですが、調査対象になるのは、どのような場合でしょうか?

アスベストの調査は一部の例外を除き全ての工事が対象

大気汚染防止法により、解体や改修作業などの際には、アスベストが含まれているかいないかの事前調査をすることが義務付けられています。 ただし、アスベストが明らかに含まれていない場合やすでに調査済みの場合などは、例外的に事前調査をしなくてもよいので、詳しく解説していきます。

アスベスト事前調査が例外的に必要ない場合かチェックしてみよう

アスベストの事前調査は設計図書などの資料を基にした「書面による調査」と、現場での直接的な確認作業である「目視による調査」が含まれます。 ここでは、アスベストの事前調査がどのような場合では、何による調査がいらないのかを場合分けして解説します。

  1. アスベスト事前調査をまったく行わなくてよい場合(書面による調査も目視による調査も必要ない場合)
  2. アスベスト事前調査における現地調査を行わなくて良い場合

1. アスベスト事前調査をまったく行わなくてよい場合

工事対象の建材がアスベストを明らかに含まない素材のみの場合

一部の建築材料は、アスベストを含まないことが、自明なものもあります。そのため、これらの建材に関する工事ではアスベストの事前調査を行う必要はありません。

これに該当するのは、木材、金属、石、ガラスなどの素材で作られた建材です。

また、畳や電球など、アスベストを含むことがない製品の場合も同様です。ただし、これらのようにアスベストが含まれていない建材での作業でも注意が必要です。

隣接する建材に損傷を与える可能性がない場合に限り、事前調査の免除が適用されます。アスベストが含まれていないとされる素材であっても、隣接する建材に損傷のリスクがある場合には、事前のアスベスト調査が必要になる点に留意する必要があります。

建材にほとんど損傷を与えずアスベストの飛散リスクがない場合

アスベストの飛散の危険性が極めて低く、わずかな損傷しか伴わない作業においては、アスベストの事前調査を省略することが可能です。

ここでいう作業には、基本的な釘抜きや簡単な釘打ちなどが該当します。

しかし、電動工具を使って材料に穴を開けるような作業はこの例外には当てはまりません。

この種の作業ではアスベストが飛散するリスクが高まるため、アスベストの事前調査調査することが義務付けられています。

塗装や材料の取り付けのみを行う場合

既にある塗装の上に新しい塗料を塗るだけの工事・改修であれば、既存の材料を取り除く必要がなく、アスベストの飛散リスクも極めて低いです。

なので、このような場合はアスベストの事前調査を行う必要はないと法律で定められています。

すでにアスベストの含有がないことが確認されている場合

国土交通省、経済産業省、農林水産省、防衛装備庁などの政府機関が既にアスベスト使用に関する調査を行った建築物や工作物が、工事の対象となる場合、事前のアスベスト調査を省略することができます。

2. アスベスト事前調査における現地調査を行わなくて良い場合

平成18年(2006年)9月1日以降に着工された建築物などの場合

2006年(平成18年)9月1日以降に着工された建物に関しては、設計図書等でその着工日が2006年(平成18年)9月1日以降であることが文書によって証明される場合、アスベストの目視による調査を行う必要がありません。これは、アスベストおよび関連製品の製造及び使用が日本国内で2006年9月より禁止されていることに基づいています。

※ ガスケットまたはグランドパッキンの場合以下の着工日を満たせば、書面調査のみで目視による調査をは省略することができます。

ガスケットまたはグランドパッキンの場合
  1. 2006年(平成18年)9月1日以降に建設が開始された非鉄金属製造業向け施設の設備(配管を含む)で、2007年(平成19年)10月1日以降に接合部にガスケットが取り付けられたもの。
  2. 2006年(平成18年)9月1日以降に建設が開始された鉄鋼業向け施設の設備で、2009年(平成21年)4月1日以降に接合部にガスケットやグランドパッキンが取り付けられたもの。
  3. 2006年(平成18年)9月1日以降に建設が開始された化学工業向け施設の設備で、2011年(平成23年)3月1日以降に接合部にグランドパッキンが取り付けられたもの。
  4. 2006年(平成18年)9月1日以降に建設が開始された化学工業向け施設の設備で、2012年(平成24年)3月1日以降に接合部にガスケットが取り付けられたもの。

アスベスト事前調査には、報告義務も!?

アスベストの事前調査について解説してきましたが、アスベストの事前調査結果を報告することも義務化されています。ここでは、その報告義務について詳しく解説していきます。 アスベスト含有に関する事前調査の報告が必須とされる建築物の工事には、以下の4つのケースが該当します。

※複数の業者が同一の工事を行う場合でも、報告義務を担うのは元請事業者です。

  1. 解体部分の床面積の合計が80㎡以上の建築物の解体工事
  2. 請負金額が税込100万円以上の建築物の改修工事
  3. 請負金額が税込100万円以上の特定の工作物の解体または改修工事
  4. 総トン数が20トン以上の船舶(鋼製のものに限る)の解体又は改修工事

解体部分の床面積の合計が80㎡以上の建築物の解体工事

事前調査の報告は、ビルなどの大型建築物に限定されず、一般住宅などの建築物の解体の場合も含まれます。

これには自主解体される住宅も含まれ、例えば、延床面積が約82.5平方メートルの木造住宅や、複数の棟を持つ家屋で各棟の床面積の合計が80平方メートル以上の場合が該当します。※建築物の壁、柱および床を同時に撤去する工事の場合

請負金額が税込100万円以上の建築物の改修工事

建築物の改修工事とは、建築物の解体工事を除く既存の建築物に何らかの変更を加えることを目的とした工事です。これには、改修工事の範囲は広く、新しい材料の追加や既存の材料の交換、機能の向上などの作業を含みます。

特に、請負金額が税込で100万円を超える改修工事については、その金額には材料費も含まれています。この金額は、工事全体の請負金額を表しており、工事にかかるすべてのコストが含まれていることを意味します。

請負金額が税込100万円以上の特定の工作物の解体または改修工事

下記の工作物の場合かつ請負金額が100万以上の場合の解体・改修については報告義務が生じます。

特定の工作物の解体または改修工事
  • 反応槽、加熱炉、ボイラー、圧⼒容器
  • 配管設備(建築物に設ける給⽔・排⽔・換気・暖房・冷房・排煙設備等を除く)
  • 焼却設備
  • 煙突(建築物に設ける排煙設備等を除く)
  • 貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く)
  • 発電設備(太陽光発電設備・⾵⼒発電設備を除く)
  • 変電設備、配電設備、送電設備(ケーブルを含む)
  • トンネルの天井板
  • プラットホームの上家、鉄道の駅の地下式構造部分の壁・天井板
  • 遮⾳壁、軽量盛⼟保護パネル

総トン数が20トン以上の船舶(鋼製のものに限る)の解体又は改修工事

20トン以上の船舶の解体または改修工事の際も、令和4年1月13日厚生労働省令第3号により、アスベストの事前調査の報告が義務化されたので注意しましょう。

アスベスト事前調査の流れについて

アスベスト事前調査では、建材サンプルの採取と詳細な検査が行われ、リスクの評価と報告が必要です。

アスベストの事前調査から報告までのフローは以下のようになっています。

STEP
発注者からの情報提供

建築物のオーナーなどから調査依頼が来た際に、事前調査をするための情報をしてもらい、調査計画を立てます。

STEP
図面調査

図面を見たり、改修の履歴を確認し、試料採取が必要な場合は、採取予定場所を決定します。

STEP
現地調査

目視で建築物の把握や、試料採取予定場所を確認し、現地調査票を作成します。

STEP
各建材について判断

1~3の工程で得た情報からアスベストの含有の可能性を判断します。

STEP
試料採取

試料採取計画をたて、試料を採取します。

STEP
分析調査

試料にアスベストが含まれているのかを分析します。

事前調査は資格者しか実施できない

2023年10月から、以下の2つのどちらかの資格がないと事前調査をしてはいけなくなりました。

  • アスベスト診断士
  • 建築物石綿含有建材調査者

上記の資格を持っている方にアスベストの調査を依頼しましょう。

ただ、書面調査でアスベストの含有の可能性がないと判断できる場合に、報告するときは、資格者でなくても報告することができます。

こちらの資格のとり方など資格についての詳細は以下の記事から

アスベスト事前調査結果の報告の流れについて

アスベストの事前調査結果は、厚生労働省および環境省が提供する石綿事前調査結果報告システムを通じて報告します。

報告は、解体工事の開始予定日の少なくとも2週間前には、労働基準監督署や関連する地方自治体へ提出することが義務付けられています。

アスベスト事前調査の報告事項の概要はこちらです(抜粋したもの)
  1. 元請け企業に関する詳細(会社名、責任者名、住所、連絡先等)
  2. 工事の委託者に関する情報(組織名、責任者名、住所、連絡先等)
  3. 工事現場の詳細(プロジェクト名、位置、概要など)
  4. 対象建築物に関する概要(新築工事の開始日、建物の構造、総床面積、その他関連施設等)
  5. 工事の期間
  6. 工事の性質に応じた追加情報(総床面積、契約金額等)
  7. 調査対象部分とその方法
  8. アスベスト使用の有無の概況と、使用していない場合の根拠
  9. アスベストが存在する、またはみなしの場合の作業中の安全対策
  10. 調査の完了日
  11. 調査実施者の名前と、建築物に関する証明書類の詳細(建物の場合のみ)
  12. アスベスト作業責任者の名前(アスベストが使用されている場合のみ)

「石綿事前調査結果報告システム」について

石綿事前調査結果報告システムとは、労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則、及び大気汚染防止法に基づく石綿含有の有無の事前調査結果の報告手続(申請)をオンラインで行えるシステムです。

石綿事前調査結果報告システムの公式HPより引用

このシステムを適切に活用することで、複数の工事案件に関する報告を一括で行うなど、手続きの効率化が図れます。 以下が石綿事前調査結果報告システムの公式HPになります。

(参考);石綿事前調査結果報告システム | 環境省・厚生労働省

アスベスト事前調査をしないとどうなる?

アスベストに関連する事前調査や報告を適切に実施しない場合には、法的な罰則が適用されます。大気汚染防止法に従い、事前調査の報告を怠ると最大で30万円の罰金が課されます。

まとめ

アスベスト事前調査は法律で義務化されていますが、アスベストが含まれていない特定の建材や、飛散リスクがない状況では例外的に調査が不要となるケースも存在します。

また、アスベスト事前調査の結果は報告する義務があり、適切な報告を怠ると最大30万円の罰金が科せられます。

2023年10月からは、アスベスト診断士や建築物石綿含有建材調査者といった資格者のみが調査を実施できます。

この記事では、アスベスト事前調査の要件と流れ、報告義務について図解を交えて解説してきました。

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この記事の執筆者

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アスベストナビ編集部

アスベストナビ代表。アスベストについての総合情報をまとめたポータルサイト「アスベストナビ」を運営している。アスベストの健康被害から法制度の改正まで、幅広い知見を提供する。

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