【2024年最新版】アスベスト法改正をわかりやすく解説!【厚労省・環境省】

目次

そもそもアスベストとは?

アスベストは、石綿鉱石から採掘される繊維状のケイ酸鉱物であり、耐熱性と耐火性が優れており、昭和30年ごろから、建築材料や断熱材として広く使用されてきました。

「せきめん」「いしわた」とも呼ばれています。

アスベストの危険性

アスベストは、吸入された場合に深刻な健康リスクをもたらす危険な物質です。

微細なアスベスト繊維は肺に取り込まれるとなかなか排出されません。結果として慢性的な呼吸器疾患や肺がん、石綿肺などの疾患の発症リスクが高まります。

長期的なアスベストへの暴露は、これらの健康被害を一層深刻化させ、社会的な問題として注目されています。

アスベスト規制の歴史

アスベスト規制の歴史は、およそ50年前から始まりました。

アスベストは19世紀から20世紀初頭にかけて、その耐熱性や耐火性から建築業や産業分野で幅広く使用されていました。

しかし、1950年代から1960年代にかけて、アスベストに伴う健康問題が明らかになりました。

1975年の特定化学物質等障害予防規則の改正をはじまりにアスベスト関連の作業者や周辺住民の安全を保護するために、規制は年々厳しくなっています。

直近の例として、大気汚染防止法の改正により、2022年からアスベスト事前調査の報告が義務化され、2023年からは関連する調査報告の資格化が導入されました。

これらの規制は、アスベストに関わるリスクを最小限に抑え、健康と環境の保護を促進するために重要な役割を果たしています。

【2024年最新版】アスベストに関係する法規制

2021年から大気汚染防止法の改正がなされ段階的に、アスベストの規制がより強まっています。この規制により刑事罰や罰金なども科される可能性もあるので、しっかり確認していきましょう。

関連する法律って何?

大気汚染防止法

大気汚染防止法は、その名の通り大気の汚染を防止する法律ですが、健康にとって悪影響な粉塵なども規制対象となっています。

直近ではアスベスト事前調査の法定化、報告の義務化やアスベストの事前調査を有資格化するなどの法改正があります。

労働安全衛生法

労働安全衛生法は、労働環境の安全と労働者の健康を守るための法律です。アスベストに関連して、この法律は作業場でのアスベスト曝露リスクを低減するための基準を設けています。

また、アスベストによる健康被害が疑われる場合には、労働者は職業病として報告する権利があり、事業主は適切な対応を取る義務があります。

石綿障害予防規則

石綿障害予防規則は、アスベストによる健康被害を防止するための具体的な指針を提供する規則です。

この規則には、アスベストを含む材料の使用、取り扱い、廃棄に関する安全基準が含まれています。特に、アスベストが気化しやすい作業環境においては、空気質のモニタリングや制御、適切な換気システムの設置が求められます。

また、アスベスト作業に従事する労働者に対しては、適切な教育と訓練を施し、必要な安全措置を講じることが義務付けられています。

廃棄物処理法

廃棄物処理法は、廃棄物の適切な処理と環境保護を目的とした法律です。

アスベストを含む廃棄物に関しては、この法律により特別な取り扱いが求められます。アスベスト含有廃棄物の適切な梱包、ラベリング、輸送、そして処分に関する厳格なガイドラインが定められています。

これは、廃棄物の処理過程でアスベストが環境に放出されることを防ぎ、人々の健康と環境を保護するために重要です。事業者は、アスベスト廃棄物を適切に処理するための許可を取得し、定められた手順に従う必要があります。

【最新順】アスベスト事前調査に関する法改正の内容とは?

アスベスト事前調査に対する法整備は2023年10月にも変わっており、ますますアスベストの事前調査・分析においても規制が厳しくなってきています。

アスベスト事前調査・分析が有資格化【令和5年10月1日施行】

2023年10月1日(令和5年)から、アスベストの事前調査や分析サンプルの採取は、特定の資格を持つ者が行うことが義務付けられました。アスベストの事前調査を行える資格は4つあります。

アスベストの事前調査を行える資格
  • 特定建築物石綿含有建材調査者
  • 一般建築物石綿含有建材調査者
  • 一戸建て等石綿含有建材調査者
  • 日本アスベスト調査診断協会(2023年9月30日までの登録)

詳しい情報については、以下の記事を御覧ください。

アスベスト事前調査結果の行政報告が義務化【令和4年4月1日施行】

2023年4月1日(令和4年)より、解体や改修を行う場合、施工前に建材中のアスベストの有無を事前調査し、その結果を都道府県等の自治体に報告する義務が設けられました。

さらに、この報告は厚生労働省が定める石綿障害防止規則に従い、労働基準監督署に報告することが必須です。

アスベスト事前調査結果の記録作成・保存【令和3年4月1日施行】

2022年4月1日(令和3年)より、アスベスト事前調査の結果は、作業が完了した後でも検証できるように正確に作成し、3年間保存することが元請け業者に対して義務付けられています。

作業に関する法改正の内容とは?

アスベスト作業における作業者や周辺住民の健康被害を起こさないために、大気汚染防止法が改正されました。

発注者への作業結果の報告【令和3年4月1日施行】

アスベスト除去において、下請け業者が不適切な作業を行いアスベストの取り残しを防止するために作業結果の発注者への報告の義務付けが法律で定められました。

必要な知識を有する者による作業終了の確認が必須となり、作業記録の保存も法律で義務化されました。

作業基準遵守義務者の拡大【令和3年4月1日施行】

短期間の工事の場合、命令を行う前に工事が終わってしまうことがないように、下請け業者を作業基準遵守義務の対象者に追加しました。

これにより、元請業者だけでなく下請け業者も特定建築材料及び特定粉じん排出等作業の種類ごとに作業基準を遵守することが義務付けられました。

直接罰の新設【令和3年4月1日施行】

危険度が高いアスベストレベル1に分類される吹付けアスベストの除去作業を隔離などをせずに行った場合、直接罰が下されるようになりました。

アスベストの分類に関する法改正

アスベストは、粉じんが発生する危険度が高い順にレベル1、レベル2、レベル3と分類されます。

主に吹付けなどの発じん性が高いレベル1のアスベストは初期の頃から規制されていましたが、時代とともに危険度が低いレベル3まで規制されるようになりました。

レベル3建材が規制対象に【令和3年4月1日施行】

吹き付けアスベストなどのレベル1建材やアスベストを含む断熱材などのレベル2建材が規制の対象でしたが、令和3年4月1日以降、石綿含有成形板などのレベル3の建材も法的規制の対象となりました。

レベル3建材に関しては、作業計画の策定とその計画に基づいて作業を行うことが必要になりました。

アスベスト法改正の履歴

アスベスト関連の法規制は、国内外の情報や日本における被害の実態からの学びを踏まえ、着実に強化されています。法改正による取り締まりは年々厳しさを増しており、常に最新情報を確認することが不可欠です。

1975年:重量5%を超える石綿吹付け作業を原則禁止

1975年の特定化学物質等障害予防規則の改正により、アスベスト含有量が100gあたり5gを超える建材の作業が規制され、原則として吹き付け材の使用が禁止されました。

1989年:石綿を特定粉じんに指定、特定粉じん発生施設の届出

平成元年の大気汚染防止法の改正により、特定粉じん(石綿)の排出や飛散を行う施設は、設置・運営の際に特定粉じん発生施設の情報を都道府県知事や大気汚染防止法政令市に届け出る必要があります。

1995年:労働安全衛生法第55条の「製造等禁止」規定による禁止

1995年に安全衛生施行令(以下安衛令とする)が改正されました。改正により、発がん性が高いとされるアモサイト・クロシドライトの製造・輸入・使用が禁止されました。また、安衛則では吹き付け石綿除去の事前届出が義務化され、特化則では規制の対象が重量あたり1%まで拡大されました。

2002年:石綿含有製品を3種類を除いて禁止

石綿の代替化等検討委員会が設立され、市場で入手可能な製品の中から、耐熱・電気絶縁板、ジョイントシート・シール材、石綿布・石綿糸を除く3つの種類以外を禁止する方針が打ち出されました。

2005年:石綿含有製品の全面禁止の方針

クボタショックが起こり、アスベストの健康被害が全国的な認知をされるようになり、アスベストを含む製品の全面禁止の方針が立てられました。

2006年:重量0.1%を超えるアスベスト含有建材の禁止

2006年に労働安全衛生法施行令の一部改正が公表されました。この改正では、石綿を重量の0.1%以上含有する製品が規制対象となりました。

列挙された製品以外は原則での禁止であったが、厚生労働省はこれを「全面禁止」と表現しました。

アスベストの法改正に関するよくある質問

アスベストの法改正において、皆様がよく間違えるところや気なる質問をまとめました。 アスベストの法改正についてわからないことや不安がある方は是非チェックして見てください。

アスベスト調査が不要な築年数は?

2006年以降は、アスベストが含有されている建材の使用が禁止されたため、2006年以降に建てられた建築物・構造物には事前調査の実地調査などは不要になります。

※ 事前調査における書面調査・報告は必須ですので注意してください。

アスベストの事前調査が不要な条件は?

事前調査が例外的に省略できる4つのパターン

事前調査が例外的に省略できる4つのパターン
  1. 工事対象の建材がアスベストを明らかに含まない素材のみに場合
  2. 建材にほとんど損傷を与えずアスベストの飛散リスクがない場合
  3. 塗装や材料の取り付けのみを行う場合
  4. 平成18年(2006年)9月1日以降に着工された建築物などの場合

アスベスト事前調査不要のケースについては、以下の記事をご覧ください。

アスベストの事前調査は何日前までに行わなければなりませんか?

事前調査の結果は、作業開始前に書面で元請け業者等から発注者に説明する必要があります。(届出対象特定工事の場合は工事開始の14日前まで)

参考:大気汚染防止法が改正されました|環境省

アスベスト調査を自分でする方法は?

基本的にアスベストの調査を知識のない素人が行うことはほとんどの場合できません。

事前調査・分析の会社に是非一度聞いてみましょう。自分でまずは見てみたい場合などは、国土交通省が出しているこちらの資料を参照してください https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/01/010425_3/01.pdf

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まとめ

アスベスト関連法律の法改正について見てきましたが、量が多く複雑なため、ご自身で把握することが難しいこともあるかもしれません。

その場合は、アスベスト業者に一度相談することをおすすめします。

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この記事の執筆者

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アスベストナビ編集部

アスベストナビ代表。アスベストについての総合情報をまとめたポータルサイト「アスベストナビ」を運営している。アスベストの健康被害から法制度の改正まで、幅広い知見を提供する。

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